こ・おぅーべぇーその3 
 HOME  その1  その2

◆それぞれのフットボール(神戸FC)

 「ウチのチームは4位で充分。それ以上は勝つなよと選手に言ってます。」
そう語る、社団法人神戸フットボールクラブT氏の口調は、半分冗談のようでありながら、やや寂しげでもあった。

 5月3日快晴、僕は「神戸ダービー」を観戦するため県立明石公園陸上競技場にむかっていた。といっても冒頭のT氏のクルマの助手席、前日の日本代表戦(神戸ウイング)観戦のついでに、氏に誘われるままに明石へ同行したのである。

 神戸FCを含めた関西リーグの知識が全くない僕は、氏を質問攻めにした。その答えによると、関西リーグとは各県のリーグの上位に存するリーグであり、加盟は10チーム。ほとんどは企業チームである。神戸市から参加しているのは、神戸FCとセントラル神戸の2チームであり、今日はその2チームが対戦する。よって「神戸ダービー」なのである。関西リーグの中で、神戸FCは昨年4位であったということ。この話しを聞いた時、僕は友人のS(変なメルマガの編集長)が観戦した全国地域リーグ決勝大会を即連想した。関西で4位ということは、この大会に即届く位置であり、そしてこの大会で優秀な成績を収めればJFL参加もすぐそこにあるじゃないか、と思った。

 「じゃあ、もう少し頑張れば、JFLも夢じゃないですね!」
何の事情も知らずに、すごいなぁーと思い、そんな質問をした時の氏の答えが冒頭であった。理由をあかそう。全国地域リーグ決勝大会に参加するためには、遠征費等を考えると2000万円以上の出費となる。企業のバックアップがない神戸FCにとっては、ひっくりかえっても捻出できない金額である。理由はただそれだけである。僕は何かやるせない、しかし何もできない気持ちとなり絶句してしまった。

 クルマが競技場に到着し、僕はスタジアムに入った。ゲームはもう始まっていた。驚いた。うまい。大袈裟でなく、局面の技術だけで言えば、Jリーグに劣らない。9番CFの裏を抜ける技術、ボランチ17番のフィード力、それは観ていて楽しいゲームだった。ゲームは神戸FCが2点先行し、余裕のゲーム運びだ。しかし17番のミスから失点、局面がガラリと変化する。なるほど、Jとの違いがわかった。まずは基礎体力、やはり90分はきつい。さらに経験というか精神面、せっかく有利に進めていてもひとつのミスで精神的に追い込まれてしまう。結局ゲームは後半2点を追加した神戸FCの完勝で終わった。
 
 帰りのクルマで、
「ちょっとヒヤヒヤでしたね。」と僕はT氏に聞いた。
「今日は、レギュラーが数人かけていたからね。」と氏は答える。出場停止かな?
と思っていた僕に、氏は付け加える。
「土曜日のゲームだともっと辛いです。仕事で選手が集まらないのです。企業のチームではそんなことはないのですがね。」

ちなみに現在の神戸FCには、石末(元ヴィッセル神戸)や鈴村(フットサル日本代表)も所属する、真剣にサッカーに取り組んでいるクラブなのである。
そんなチームであっても、仕事や金が障害となり、上を目指すことができないでいる、これが日本のクラブスポーツの現状である。

 と、くらーい話しになってしまったが、やっぱり神戸FCは素晴らしい。今、当クラブは成人のみで6チームがあり、各々のレベルでリーグ戦に参加している。入会は自由、いつでも誰でもレベルに応じたサッカーを体験できる。もちろん大人だけでなく、ジュニアのチームもあり、神戸FCのユースから育ったJ所属選手もいるそうだ。このようなクラブのある街神戸を、そしてボランティアでいながら真剣に運営をされているT氏を僕はうらやましく感じた。

 明石から離れ、僕らはナビスコ杯のヴィッセル神戸vsFC東京観戦のため、神戸ユニバにむかった。そこには観戦に訪れた1万人弱の観衆がいた。しかし、ピッチ上で行われているゲームには、アクビを隠せなかった。
「技術は負けるけど、熱さだけはウチらが上やね。」
動かない城を見ながら、T氏がつぶやいた言葉に、僕はものすごい重みを感じていた。

客は多いがゲームはしょぼい。よかったのはビールのデザインのみ

◆こぅーべぇー(神戸アスリートタウン)

 ユニバでヘンテコなゲームを有料で観戦した後、僕らは三宮に戻った。そしてかの有名なKR&ACで茶をくい、神戸の旅は終わった。
 一言、神戸のスポーツ環境は素晴らしかったが、これもやっぱしヒトありきだな、と感じた。T氏を始め、多くの人が熱かった!神戸のワールドカップに幸あれ!こんな感想を持った。

 ところで、三宮から関空までのバス代が1800円もかかった。これだったら、羽田→自宅までのリムジン料金を含めると新幹線の方が安かったし、三宮からの時間も同じくらいだった。安いツアーを目指したのだが、相変わらずツメの甘い僕であった・・・。

 HOME その1 その2 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送