ぼくたちのワールドカップ 2002
 埼玉  ワールドカップの臭い 
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6月4日
 この日は日本での初観戦の日、カードはもちろん日本vsベルギーである。さいたま新都心のサポータービレッジを覗いた後、13.00頃に浦和美園駅に到着した。駅前は青い集団で既にいっぱいであった。

 これがワールドカップなんだろうか?日本での開催、日本代表の初戦、遠来のベルギーサポがほとんどゼロなのは、理屈的には充分理解できる。でも、何かワールドカップの臭いがしないのである。
 ワールドカップの臭い、それはお祭りであり、雑踏であり、カオス、多くの民族が一箇所に集まった時に発せられる心地良い臭い、それが今日はない。まるで日常の日本そのものなのだ。
 
 
これがワールドカップなんだろうか?たまに発見するガイジンには、多くの日本人がアリのようにたかっている。本来刺身のツマであるはずのサポーターにTVカメラの放列、インタビュー。なにか10代のアイドルに群がる群衆のようで興ざめしてしまった。

 これがワールドカップなんだろう。青い集団にはフランス予選のウズベキスタン戦、韓国戦のような悲壮感はなく、お祭りを楽しんでいる。もちろん少ない人数のベルギーサポともとても友好的である。

 僕はこの矛盾に戸惑ってしまった。ワールドカップはお祭りである。異人種がフットボールというコトバだけで仲良くなれる楽しい場所である。それ自体に問題はない。いや、むしろ積極的にその輪に入れる日本人が増えたことはとても喜ばしいことだと思う。しかし、この日の駅前に異民族はほとんどいなかった。ほとんどが日本人なのである。キリンカップの少し大きな大会、そんなイメージがした。今日は本当にここでワールドカップが行われるのであろうか?僕は自分自身の戸惑いから、なかなかどうしても抜け出すことができなかった。

 とは言え、苦労して確保したチケット、日本でのワールドカップ!楽しまなくてはもったいない。「ただ」でプレス席に座っている評論家じゃないんだからね。ということで、駅前はあきたので、スタジアムに向かって歩き始めた。すると遊歩道の切れるあたりで、テキヤの屋台が出ている!ここでやっとビールにありつけた。(オフィシャルでは全然売っていないのだ)ロング缶を数本購入、道端に座り、今大会始めてのフェイスペイントを開始する。すると中年夫婦の尋常を超越したペイントが受け始め、しだいに周囲に人が集まってきた。ビールで気持ちも良くなってきた。で、フェイスペイント同志の写真大会、ついでに歩いてくるベルギーサポを冷やかしながら、時を過ごした。結構楽しくなってきた。

 ゲームはもちろん満足した。あのベルギーに先制されて引き分けたのだから、充分以上であった。これなら「16強」も夢ではない!そんな心地よい気持ちで僕は帰路についた。

 しかしこの帰路はタイヘンだった。まともな誘導もなく、離れて座ったトモコさんやAっちとは結局会えず終い。僕は1人でフェイスペイントのまま、地下鉄で帰宅した。みんなと会えず、引き分けの乾杯ができなかった焦燥感とたった1人のフェイスペイントのままの羞恥心を残しながら・・・。

 

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