カントクの寝言  koreaとcorea (2003.04.18)
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◆「じいちゃんが・・・」(俊輔風味シドニー五輪ソース添えの雰囲気で)

 昨日ママンが死んだ、で始まるのはヘルマン・ヘッセの「車輪の下」。何の関係もないが、その日の早朝、奥さんのじっちゃんが死んだ。(ことにした)
「今朝、嫁さんの祖父が亡くなりまして」
「ええ、場所は鹿児島なんで、2日程休みを頂戴したいと思いまして・・・」
「今まで元気だったらしいのですが、急な話しでして・・・」
 15日午前9時、会社でこの古典的ウソを僕はくらーい顔をして言い放ち、そして韓国へ飛んだ。しかし、古典的ウソというのは一見バレバレであるが、人間の心理とは不思議なもので本当にウソっぽいウソが通じてしまうのである。だからこそ「古典」になるほど長く使用されているのだ、僕は妙な納得をしてしまった。ちなみにじっちゃんは指宿で健在である。じっちゃん、ごめんな。

◆マイレージで行けたのに

 今回は2泊3日の行程である会社のツアーに参加した。韓国なんか当日朝発の1泊2日で充分だし、マイレージも溜まっていることから、総額25000円程度(1マイル1円換算+宿泊)で充分行けるのだが、少しのしがらみがあり総額58000円もするツアーに乗っかってしまった。旅行っていうものは自分で安い行程やホテルを調べることから始まると思うし、またそのプロセスが結構面白い。今回はそれがなくて全て旅行会社に任せきりだったし、何よりも高かった。でもまあ、楽しいことや新しい出会い等、ツアーならでの楽しみはあったのでそれはそれで良かったとしましょう。
 ということで、今回のツアーには、僕と奥さんと妹、それにTちゃんの4人で参加した。また(これもわかっていたことであるが)Jサポのツアーも往復のエアーからホテル、観戦場所まで一緒であった。
 ところで、ツアー参加はフランス大会以来久しぶりだったが、それ以前にこの旅行は僕にとっての「初体験」が3つもあった。1つめはウソをついて会社をふけたこと(笑)、2つめはアウェイの代表戦(フランスもシドニーも中立地だった。よけいなことだが、昔の国立でのvs北朝鮮戦とかはアウェイみたいなもんだったけど・・・)、そして最後は代表戦のゴール裏、すなわちJサポと一緒に応援をしなくてはいけないわけだ。一体どうなるのか、不安も含めて結構ドキドキする旅立ちであったことはゆがめなかった。

◆プルコギと応援とマエゾノ?

 仁川に17:00頃到着し、ツアー一行はそのままプルゴギの店に入る。そこで千葉白浜でホテルを経営しながら芝生のグラウンドを所有し、合宿企画を実施しているおっさんと出会う。このおっさんも、なんとかの会合をふけてナイショで訪韓しているらしく、妙なところでハナシがはずむ。またそれ以前、僕は仁川からソウルまでの間、Jサポのバスに乗車しMさん達と少しの間打合せをしていた。そのバスには当然ゴール裏で応援している若い連中が乗車していたわけだが、もう少しチンピラちっくな連中と想像していた彼らが思いのほかピュアであった。応援については後述するが、僕はこの時点まで応援のド真中に入るか、少し離れて観戦するかを迷っていた。しかし、このバス内で心は決まったのである。今回は彼らのサポートを思い切りしようと。そう覚悟(ってほど大袈裟ではないけど)できるほど、彼らの代表に対するピュアさに感激したみたいだった。プルゴギからホテルに帰還し、その晩はツアー主催会社のSさんの部屋で飲み明かす。どこでも飲むことだけは忘れないからね。

 翌日スタジアムへは16:00頃到着の予定で、それまで明洞でうんまい餃子のランチと足裏マッサージをして南大門に行く。当然ターゲットはあやしいバッタ屋である。まずはユニホーム。店はあるにはあったが、マンUだとかスペイン代表だとかありきたりのユニしか置いていない。しかも1軒目の店では3000円とか言う。「ニホンより安いよー」とか店員は言っていたが、そんなの当たり前。オイラはオーストラリアの物価と比較しているのだからね。で、ほとんど購入する気もうせて3軒目に入る。前述のありきたりのユニは1500円まで落ちたが、どうも購入意欲がない。その時、店員が「マエジョノ、マエジョノ」と言って、赤いユニを出してきた。安養LGの7番、背中にはハングルで「マエゾノ」と書いてある(らしい)。これは欲しい!と思い、早速値引きに入る。Tちゃんと2枚買うから安くしろ、と言ってもこちらの欲しい気持ちがミエミエになってしまったため店員はなかなか安くしない。でも欲しいので、仕方ないから2枚5500円で手を打ってしまった。うーん、まだまだ甘いなぁ。
 その後、10秒で完成するプラダのバックとやらをひやかしながらバスの集合場所へむかう。奥さんは僕のバッタ熱にひかれたのか、絶対にあり得ないLVのサンダルを1000円で買っていた。

◆koreaとcorea

 バスは15:30にスタジアムに到着してしまった。前回(W杯開幕戦)は地下鉄で行ったため、気が付かなかったのだが、このスタジアムには一般用の駐車場が大量に確保されている。またカシマのように帰りの渋滞も思ったほどではなく、比較的スムーズに流れに乗れた。同時に地下鉄の駅も徒歩1分とアクセスは最高で、さらに専用スタジアムである。比べて隣国の新しいスタジアムは・・・。僕は少し絶望的な気分になってしまった。
 さてスタジアム周囲を少しブラブラした後、Sゲート(アウェイ側)よりスタジアムコンコースに入り、地下鉄駅に近いNゲート(ホーム側)に向かう。そのNゲート付近はメインの入り口であり、各スポンサーがイベントを実施している影響もあるだろうが、Sゲートが赤と青が混在しているのに比較しともかく真っ赤であった。 その中に入ってみるか?少しの躊躇は今までの日韓の歴史を考えれば、当然のことであると僕は思う。しかし今の韓国しか知らないTちゃん達若い者にとって、そのような躊躇は全くないようであり、僕らはNゲートを出て真っ赤な喧騒の中に侵攻した。

 喧騒は当然韓国寄りである。売店には韓国国旗やバッタもんの韓国ユニ、Be the RedzのTシャツ、そして訳のわからない虫の煮物(臭い・・・)等が売られており、当然青いユニなんかは全くない。日本開催の親善ゲームが全く逆になっただけの、ごく日常的光景であった。しかし、日本の日常的光景に「赤」がないように、ここでの「青」はいわば非日常の際たるモノであったように感じる。この異質さはある意味危険ではないだろうか?僕は充分ノンビリ感のある喧騒の中で、少しのためらいを覚えていた。そんな時であった・・・。

 "photo together please,ok"
ピンクのレプリカを着ている韓国の若者数人がTちゃんを始めとする「青い」僕ら一行に声をかけてきた。それを発端に、エスパルスの19番を着た若者を始めとして"photo please"の声、声、声。最後には、TVカメラまでが寄ってきて、「韓国で知っている選手は?」「アンジョンファンの日本での人気は?」という月並みの質問をTちゃんに浴びせる。そして彼らの顔には全くくったくがないのである。

インタビューを受けるTちゃん マッサージ器までイベントしていた

 僕は完全に戸惑ってしまった。W杯開幕戦で初訪韓した時に当地のやさしさ、親切さには充分触れていた。しかし、その後の世界観のないウリナラのためのウリナラ杯も実感している。つまり、ことウリナラが関わる競技となると、この国民達は普段のやさしさをかなぐり捨て、これ以上ないエゴを撒き散らせるのだと思っていた。その相手が日本となれば、そのエゴはW杯と比較しても遜色のない、もしかしたらそれ以上になると思っていた。それがこの笑顔である。それだけではない、中にはゲーム前にマフラーだけでなくユニを交換しようという、サッカーの世界ではおそろしく非常識であるが同時に日本のW杯ではよく見られたその光景にも何度も遭遇した。一体、これは何なんだろう・・・。

 僕は次第に自分がまちがっているのではないかと思ってきた。韓国の若者に日本に対する憎しみは皆無である。これは日本も同じだろう。僕は違う。決してサッカーだけの世界とは言えないかも知れないが、サッカーの世界を中心として、この国に良い印象はない。しかしこの若者達の心からの日本に対するフレンドリーさを実感すると、いままで僕がこの国に感じてきたことは全て誤解だったような錯覚に陥るのである。

 ゲーム開始90分前頃、最後の"photo please"の若者達が、"corea"と記載したマフラーを持っていたので、何故"k"でなく"c"なのかと、わざと尋ねてみた。答えはkだとオリンピックでの入場行進がjapanの後になってしまうから、とその若者は答えた。本当はもっと深い両国間の歴史問題があるに関わらず、この若者達にはそんなことは何の関係もないようであった。

日韓友好 まさか僕がこんなことを?

 40歳以上のアタマの固いおっさん達は日韓とも全員クビ。そうなれば両国の親善は飛躍的なスピードで深まるのではないか・・・、そんなことを考えながら、若さに対しやたら感激してしまったゲーム前であった。

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