カントクの寝言  全社と神戸とボランティア (2003.10.26)
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◇全社と神戸FC

 全国社会人サッカー選手権(通称:全社)という大会をご存知だろうか?全社は今年で39回目をむかえる歴史ある大会であり、その大会規定の参加資格覧には、「(財)日本サッカー協会及び全国社会人サッカー連盟に登録された第1種の登録チームであって、次の条件に従う。(1) J1リーグ、J2リーグ、JFL、大学連盟、高専連盟に加盟したチームは除く。 (以下略)」と記載されている。すなわち大会名称のとおり、JFL未満の地域リーグで戦っている社会人チームの日本一を決定する大会なのだ。また全社は国体開催県がその前年に国体リハーサルを兼ねて開催することになっている。その39回大会が本年10月17日〜22日の期間で埼玉県で開催された。僕は故あって、この全社に参加をした。以下、そこで感じたさまざまなことをレポートしていきたい。

 きっかけはW杯以前よりお付合いさせていただいている神戸FCのT氏からのメールだった。その内容は全社で関東に行くので飲みましょう、という非常にオヤジ的、かつ魅力的ななお誘い(笑)であり、僕は無論了解した。が、ちょっと待てよ、何故神戸FCが全国大会に参加するんだ?という疑問がすぐにわく。もちろん予選に勝利したから全国大会出場なのだが、そのような競技レベルのハナシでなく、もう少し複雑な理由が神戸FCにはあったからである。

お約束の飲み会

 普通サッカークラブとはトップチームを頂点として年齢が低くなるにしたがい三角形の組織となる、例えば小学生が200人在籍して、その中からJRユース、ユースと年齢があがるに従い、該当チームへ昇格できる人数が絞られ、最終的にトップチームにたどりつく人数はまさに一握りとなる。しかし、神戸FCは成人のチームだけでもJFA登録しているチームが5チーム(2000年3月現在)もある。当然、O-40のシニアチーム、ユース、ジュニアユース、さらにサッカースクールも存在しており、望むならば誰もが上級カテゴリーに昇格できる。すなわち、当クラブのスローガンでもある「生涯サッカークラブ」を実現しているのである。成人チームはレベルによって在籍するチームが異なり、各々シニアA,B・・・、と振り分け、レベルに合致した地域、県、市のリーグに所属している。その中の最も強いチーム(いわばトップチーム)は、関西リーグ(地域リーグのトップリーグ。ここで優勝し、さらに各地域の優勝チームで毎年開催される地域リーグ決勝大会で2位以内に入るとJFL下位チームとの入替戦が実施され、これに勝利するとJFLへの加盟が可能となる。)に所属しており、2003年度は3位でリーグを終了している。今回「全社」に出場したのは数多い神戸FCの中のこのトップチーム、「神戸FC1970シニアA」なのである。

 神戸FCの運営は、基本的にクラブ員の会費でまかなっている。通常のJリーグにあるような大手スポンサーがないため、必然的に経営は苦しい。もちろん関西という地域の中で活動をするにあたっては、充分な運営は可能なのであるが、たとえば今回のような首都圏への遠征となると、その予算は確保できないのだ。今回の遠征もクラブ員からの寄付、そして出場する選手は各自4万円の費用負担をして実施したのであった。さらに今回のトップチームの遠征(全国大会への参加)は神戸FCにとって、実は初めてのことであった。今まで全国大会に出場しなかったのは、予選突破等の競技レベルの問題でなく、先に述べた予算問題の要素が大きい。すなわち遠征費の捻出が不可能なため、全国大会出場をあきらめていたのだ。

 さて、さらりと書いたがここで大きな矛盾に直面する。サッカーを含むスポーツはレベルが高くなるほどに競技性を増してくる。つまり勝つことが重要にあり、勝つことが目標なはずである。しかし例えば地域で勝利し、全国大会に出場することになると、遠征費等の想定しなかった出費が発生してしまうのである。とは言え、例えば会社のサッカークラブのように福利厚生費で遠征費を捻出してくれるようなチームはともかく、”自腹”で遠征費を捻出せざるを得ない神戸FCのような純粋なクラブチームにとっては、全国大会出場はある意味笑えない悲劇なのである。 

◇自発的ボランティア

 神戸FCが全社に出場する。この話しを聞いた瞬間から僕は何か助けることはできないか?と考えた。T氏(神戸FC)に何か手伝うことはないかと聞いたところ、実に単純かつ明解な回答をいただいた。それは選手を宿舎から会場まで送迎してほしいとの依頼であった。前述の通り、神戸FCはギリギリの予算で大会に参加している。よって会場までの交通費(宿舎の大宮から大原サッカー場までの選手20名分のタクシー代だって決してバカにならない費用であろう)を浮かせたい、というのがT氏の要望であった。もちろん僕は快諾し、クルマ集めに走った。結局、2回戦に3台、3回戦に2台、計5台のクルマが集まった。提供していただいたのは、元埼玉SSSの皆さんである。ちなみに神戸FCは、1回戦を宿舎から歩いていける大宮サッカー場で戦う。万が一、そこで負けてしまうとノックアウト方式のトーナメントであるので、クルマを出していただいたみなさんのせっかくのご好意がムダになってしまう。決してクルマ出しの好意のために選手に勝利を求めるわけではないが、全くの無償で僕の提案に乗ってくれたみなさんには是非神戸FCのゲームを観ていただきたい、同時に選手の送迎ということでチームに関与していただき、より深くサッカーに関わっていただきたい、そんな思いがあった僕は神戸FCの1回戦突破をかなり強い気持ちで願い、10月18日(土)その1回戦を観るため大宮サッカー場へむかった。

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