カントクの寝言  全社と神戸とボランティア part2 (2003.10.26)
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◇快勝!そしてほのぼのベンチ

 18日朝、僕はクルマで大宮へ向う。この日は電車でも良かったが、宿舎や大原のの位置を確認することも目的であったため、クルマで行った。しかし、大宮サッカー場はすぐわかったが、宿舎の位置がわからずうろうろしている間に大宮公園の駐車場が満車になってしまった。僕は当然のごとく関係者用駐車場にクルマを向わせる。入り口のにいちゃんが「どちらの・・・」と聞く前に、「神戸FCじゃ。駐車券(きっと関係者用駐車券があると思った)は後で若いもんに持たせるから、停めさせぇー」と言って堂々と関係者用駐車場にクルマを停めた。まあ、関係者といえば関係者なんだが・・・、まあいいか。

 スタジアムでは10:00からの飯能ブルーダー(埼玉)vs三菱自動車水島(岡山)のゲームが始まっていた。以前関西リーグを観戦した時も思ったのだが、カテゴリーではJFL以下のこのクラスとはいえレベルは高い。このゲームも三菱が中盤を支配してゲームを組み立て、しっかりした展開を行っていた。しかし約50人ほどいた飯能のサポ声援が効いたのか、結局飯能が0−0での延長突入後、Vゴールで勝利する。そしていよいよ神戸FCの登場である。

飯能ブルーダーのサポに対するたった2名の三菱自動車水島サポ

 選手がピッチに出てきてスタンドに挨拶を行う。「がんばれよー。勝てよー」神戸ベンチ上最前列にどっかりと座った人相の悪いオヤジ(僕でしゅ)が、でかい声で声援をおくる。相手は札幌、そして自分達は神戸、しかしここは埼玉、当然スタンドはシーンとしている。選手たちは相手の札幌サンクFCの選手を含めて、こんなデカイ声の応援があるとは思っていなかったらしい。なんと22人の選手全てが僕を見る。そして神戸のレプリカを着ていることを確認し、神戸FCの選手がとまどいながら手を振っていた。(笑)

 ゲーム開始。前半より神戸が支配するがなかなかゴールが入らず、前半は0−0で終了。しかしびっくらしたのは、選手がゴールを外すたびに起こる神戸FCベンチの笑い声。まるで草サッカーのノリだ。多分全国大会を思い切り楽しみたい気分がベンチにもあるのだろう。笑い声は聞こえるが感覚的に”ゆるい”という感じとは異なり、ベンチまでのみんなが真剣に楽しんでいるようなものすごく良い雰囲気であった。

 ベンチに帰ってきた選手達に、人相の悪いオヤジ(すみません僕でしゅ)がカツを入れる。「勝てるぞ!後半3点とれ、こらぁー、いけぇー!$#!」で、ホントに3点とった。僕のカツはカントクの松永さんの指導より効果あったかも知れない・・・。結局4−1の快勝!そして手配したクルマが翌日活躍することが確定した。

 ところでベンチには細谷さんもいらっしゃった。ふるーいサッカーファンならご存知だろうが、松永さんも細谷さんも二宮監督時代の三菱重工の選手。杉山、横山、足利、落合、大久保等と一緒に黄金時代を形成した方々である。よけいなことだが、僕は細谷さんに小学校の頃コーチしていただいたことがある。それが40年近くたった今、こんなところで再開できるなんて、サッカーで素晴らしい。

◇第2回戦

 19(日)早朝、僕は1人クルマで神戸FCの宿舎へ向った。集合時間の9:30にはこの日お手伝いをいただく飯塚さん、松岡さんも宿舎に集合し、いよいよ大原に向けて出発だ。僕のクルマにはこの日のスタメン3名が乗車した。そのうちの1人16番の大門くんは初戦でも左SDで活躍した18歳。千葉出身で弟さんは八千代でレギュラーだそうだ。
「今日勝ったら明日残るの?」
と聞いた。
「ええ、なんとか残れるように調整してきました。」
3人の選手が答える。良かったね、じゃあ今日頑張って明日ザスパとやろう!と僕は思った。

 この会話にまさに全社の矛盾がある。どこのスポーツ大会に、今日勝ったら明日どうしよう、という会話があるだろうか。高校の選手権でも、甲子園でも、天皇杯でも、オリンピックでも、W杯でも、勝ったら勝ったという喜びがあり、次へのステップ、挑戦に対するときめきがある、これは当たり前のことだ。しかし全社は違う。会社のチームならば、会社理解のうえにチームで有給をとれるのだろうが、クラブチームの場合は、平日に休めるかどうかを各選手が会社と交渉しなくてはならない。アマチュアなのだから仕事優先が当たり前、これもわかる。だからこそ、普段のリーグ戦は仕事に支障のない日時に開催されるが、全国大会となればそうはいかない。高校生には夏休みや冬休みがあり、全国大会はそこに集中して開催される。しかし社会人にはそんなに長い休暇はない。だからこそ、決勝まで5日連戦という無理な日程で、できるだけ休暇を少なくするような大会日程が組まれている。そんなさまざまな事情はわかるが、それ以前に純粋に「今日勝ったら困る」という考えが少しでも発生してしまうことに何か割り切れないものを感じるのである。

 大原競技場までは15分程度で到着。僕はこの日東京でどうしても外せない予定が入っているため、ゲーム観戦を飯塚さん、松岡さんに託し、東京へ戻った。
 
 「0−2で負けました。」14:00前にタケルから連絡が入る。彼もエリースFC東京の裏方としてこの大会に参加した友人の1人である。僕は神戸FCがあったため、彼らのゲームを観戦することはできなかったが、常に心の中で応援していただけに残念だった。それから数分後、神戸FCのT氏より携帯にメールが入る。「1−2で負けました。」そして僕らの全社は終わった。後で聞くと神戸FCもエリースも惜しいゲームだったようだ。できればせっかく有給がとれたのだから、もう少し上までいって欲しかった。しかし、逆にこれで彼らが会社に迷惑をかけないで帰れるということに少し安堵の気持ちもあった。

 全社、それはマスコミには取り上げられないかも知れないが、シゴトとスポーツの両立という僕らにもある身近なテーマを共有した選手たちが臨む最高峰の大会である。僕らにとってテーマが身近だけに、日本代表やレアルマドリーには感じない家族のような親しい感覚を持てる大会だ。全社を今後も追いかけていきたい、そんなことを思った2日間であった。


◇最後に〜タケルからのメール〜

さて、初めて全社に参加する側に回って色々考えさせられました。
この大会、協会から補助が出るわけでもなく優勝賞金もありません。また、会社チームやスポンサーつきのチームはともかく神戸のようなクラブチームには金銭的にもキツイだろうなぁと感じました。
なかには会社チームですら電車で移動していたところもありましたし...。

また、日程的にも各チームやりくりが大変なようで、地区予選では平日の準決勝に選手が揃わず、泣く泣く棄権したために今年度後半のリーグ戦を全て不戦敗という処分にされ下部リーグに降格が決まってしまったという例もあったそうです。

アマチュアの選手たちは本業も頑張る、その上で、サッカーも頑張る、それはある意味プロより大変だし、そういう意味では彼らはプロ以上のプライドを持ってやっている部分もあります。
そういう選手たちをこれからも応援していきたいと思っています。

今回はアマチュアの競技サッカーのあり方について非常に考えさせられる大会でした。

最後に、公式プログラム巻頭の川淵キャプテンの署名入り挨拶にこう記載されています。
「日本フットボールリーグ(JFL)のチームも参加するこの大会は、まさにアマチュア最高峰といえます」

...参加してないって。

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