カントクの寝言  酒をかっくらわない元旦 (2004.1.6)
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◇オイラにとっての元旦

 オイラは長い人生の中で、今まで一度も天皇杯決勝を観たことがなかった。何故ならば、元旦とは家族が一緒に過ごす日であるという定義が我が家にあり、その日は通年朝から親の家(と言っても、同じビルの2Fだが)に集合(と言っても、今では母と妹とオイラ夫婦だけで、昔もそれに亡くなったオヤジとコロという名の駄犬がプラスしていただけの少人数だが)することが習慣となっているのである。
ところでこの美しい日本的習慣が、何故天皇杯を観ないことに関係するかというと、一言で言えば飲んだくれるからである。つまり、元旦午前10時頃に、家族で新年の挨拶と食事をはじめ、当然その食事には酒がつく。となると、満腹になり、かつ酒もほどよくまわっている午後1時頃というのは、完璧に睡魔に襲われる時間なのである。というわけで、オイラはフリューゲルスの感激の優勝も、ピクシーの素晴らしいゴールも、もっと昔になれば田辺製薬の決勝進出も生では観ていないのである。そんなオイラが実は人生初めて天皇杯決勝を生観戦してきたのである。まさにこの事実だけで、歴史的快挙(元旦朝から酒をかっくらっていないという意味で)なのであるが、その初観戦には様々な「オモロイ」出来事が福袋のごとくおまけでついてきたのである。

◇チケットがない

 いや、チケットは我々夫婦の分はあった。しかし大晦日の午後になって妹も行くと言い出し、その分のチケを確保していなかった。何故、こんな直前になって?と普通は考えるが、これも仕方ない。というのは妹は仕事で31日にハワイから帰ってきたばかりなのである。まあ、直前といっても、浦和や鹿島が出場するわけじゃないし、チケットなんて簡単に入手できるだろうと思ったのがまちがい。なんとチケットぴあでもampmでも全席が売り切れていた。こりゃ、驚いた。天皇杯決勝といっても要はJのゲーム、さらに浦和が出場するわけじゃない、かつ一方は関西のチーム。どう考えたって売り切れるわけがないとタカをくくっていたわけだ。というわけで、早くも前日に天皇杯決勝の雰囲気を知らない初心者感覚を露呈してしまった。

 しかし、長年チケット争奪戦を経験してきたオイラは当然ここであきらめるほどヤワではない。で、早速Jネットを使う。しかし前日夜になってチケットを探すなんて、代表戦でもやったことがないし、受け渡しの手法も限られているし、またこちらの必要枚数は自由席1枚という限定であり、当然のごとく前売定価以上の金額を払う気持ちは一切ない。こんな状況で購入できるかは半信半疑であった。が、やはりオイラの周囲にはサッカーの神様がいるようで、予定通りに3000円で、しかもあっさりチケットを確保できた。

チケットを譲っていただきました

◇11時30分開門???

 もう一度言うが、オイラは天皇杯決勝は初体験である。よってその日の現場の雰囲気は知らない。しかし国立が満員のゲームは何回も観戦しているし、特に変わったことはないと思っていた。それでも自由席であるため、少し早く現地に到着しようと思い、千駄ヶ谷門に11時40分頃に到着した。当初の予定は、オイラが千駄ヶ谷門から入り自由席の良い場所を確保、ヨメと妹は青山門で12時にチケットの受け渡しをしてその後合流、であった。が、何故か千駄ヶ谷門は開門しているにも関わらず、自由席客を入れていない。シミスポの兄ちゃんに聞くと、現在(11時40分)入場させているのは指定席の客だけであり、自由席客はセレッソ側が千駄ヶ谷門、磐田側は代々木門よりじきに入場させるようで、現在並ばせているとのこと。で、代々木門側の最後尾はフランスW杯予選UAE戦でカズが卵を投げられた正面入り口下の公園をグルグル回っていて、かなり長い列となっている。

 マジかよ!まず開門がゲーム開始2時間前ってあり?多分両チームともゴール裏サポは徹夜か早朝から並んでいるはずだ。で2時間前になったらさすがにオイラのような普通のファンも来始める時間帯。こんな時間まで開門しなくてホントにゲーム開始までに並んでいる人を会場内に納められるのだろうか。そう思いながらオイラは素直に代々木門列の最後尾に静かに並んだ。まあ列もそれなりに進んでいるし、感覚的に12時30分には入場できると感じた。また磐田側自由席はこの列からしか入れていないとのシミスポにいちゃんの説明から考えれば、席が埋まるはずもない。というわけで、全然あせりは感じていなかった。そんな時にヨメさんからTELがかかってきた。

 「チケットの受け渡しが終わったよ。これから入るね。」
え?ナニ?これから入るって言ったって、オイラの後ろに並ばなくてはいけないんだろ?と思い、
「入ると言ったって、滅茶苦茶並んでいるぜ」と僕は言ったが、ヨメさんはいまいち理解できていないようだった。そして衝撃の一言。
「こっちは並んでいないよ。みんな青山門からはスイスイ入っているよ。」
ナニーーー!!!確かにシミスポは「磐田側自由席は代々木門から入場」と言ったのに関わらず、青山門からも入場させているらしい。そんな理不尽なことがあっていいのか。
ともかくもう一度ヨメさんにTELして、多分オイラの入場の方が遅れるから席の確保をしておくように依頼した。ってなわけで、結局先に席取りしておくはずだったオイラはヨメと妹より約30分遅れて12時40分頃にヨメ達が確保してくれた席に到着したのである。
 

◇ストレスが・・・

 シミスポあんちゃんなんかよりよっぽど国立を熟知していながら、新年早々文句を言うのもなんだしと思い、黙って列に並んで、結局やっぱしシミスポあんちゃんのまちがいで、入場が遅れたにも関わらず、青いジャンバーを蹴っ飛ばすこともなく、粛々とオイラはゲーム開始を待った。だって新年早々だしね。ちなみにヨメさん達が確保してくれた席は31番入口から入った通路脇。すぐ隣がSA席であり、全体は俯瞰できるし、聖火台下観戦をモットーとしているオイラにとってはベターな席であった。が、唯一の不安はすぐ右側に通路があることであった。位置関係は図1のような感じね。その理由は、ゲーム途中に通路を往来する客に視界を妨げられる可能性があるからである。

図1

 ゲーム開始10分前。以前としてオイラの右側通路をぞくぞく昇ってくる客が途絶えない。おそらくオイラの後に代々木門に並んでいた客が入ってきているのだ。しかしオイラの上段席は既に埋まり、また席上の立見部分もぎっしり埋まっている。当然のごとく、通路を昇ってきた客は行き場を失い、通路上で立ち止まることとなる。そして遂に通路上を席として座り始めたのである。この間、シミスポは何の仕切りもしない。そして次第にオイラの頭が沸点に近づいてきたのである。しかしお正月。オイラは依然我慢をしていた。そしてゲーム開始。通路に座っている客は多数いるが、座っていてもらえれば特にオイラに迷惑はかからない。よって、特にストレスも溜まらない。そして前半が終了する。そのタイミングを待ったかのように、シミスポが通路客をSA席上部の立見部分に誘導し始める。しかし、いくら上部に誘導してもさらに下から客が昇ってきてしまい、通路はまた別の客で満杯状態になる。こんな繰り返しのハーフタイムが終了し、後半が開始される。しかし通路のごった返しはハーフタイムのまま。昇ろうとする客はまだマシだが、遂に昇りも降りもできず、と言ってその通路を自分の場所と定めず、すなわち突っ立ったままの客が出始める。

 その瞬間、遂にオイラの頭は沸点に達してしまった。
「どけ、ボケ!突っ立ってんじゃねぇー。じゃまなんだよ、カス。」と大声。当然、周囲シーン。突っ立っていた家族連れはおびえ、若者は思わず中腰になる。その雰囲気を察してか、シミスポが速攻で客の整理を始め、後半開始5分程度で通路付近の喧騒がやっと収まった。

 そもそも何故こんな状態になったかの現況は遅い開門時間と入場に対するシミスポの仕切りの悪さであろう。さらに自由席が一杯になってしまった段階での客誘導の悪さ。
帰り際、サポートする磐田の優勝でご満悦だったヨメさんがいみじくも言った。
「楽しかったね。またお正月来ようよ。でも指定席でね。」

◇反省

 オイラが後半開始早々の沸点到達以前に実は1回だけ怒ったことがあった。前半通路に座っていた家族連れ(母と息子)が通路に並んで座っていたのだ。当然通路幅は埋まり、1列ずつ通路座りしている以上に往来する客のじゃまになる。で、そのガキに向って「おめぇー、じゃまなんだよ。並んで座るな。」と怖いカオで注意、もとい脅した。それはそれで、決してまちがったことではないと思うのだが、その母親(若くて結構美形)がハーフタイムにオイラにむかってこう謝った。
 「通路に座ってはいけないって知らなかったんです。ごめんなさい。」
正直、オイラはこの謝罪に返すコトバがなかった。(若くて美形だからでは断じてない)
 
 今までも何回もマナーの悪い客に遭遇しイヤな思いをしたことはある。しかし、そのマナーの悪さとは、あくまでスタジアムの常識に基づいての評価であり、以前にも記載したが、あれだけ広い屋外が禁煙だとか、空席の有無に関わらず通路座りは厳禁だとか、ゲーム開始1時間前に来るのは当たり前だとかのことは、スタジアム初心者にはわからないことなのかも知れない。もちろん無知なことは社会生活においては罪であり、これはスタジアムにも当てはまるわけだが、スタジアムの常識を熟知しているオイラ達は、実はこのような初心者達にもっとやさしく接しなくてはいけないはずだ。オイラが怒った少年が、もしあの一言でスタジアムは怖いとこだと思い、サッカー観戦をしなくなったとしたら、これはオイラの責任かもしれない。とは言え、スタジアム云々でなく誰でもわかる社会常識を守らない奴らが多数いるのも事実であり、こいつらは当然のことながら常に怒るべき対象であり、2度とスタジアムに来なくて構わないカスなのである。そして善意の初心者なのか、ただのカスなのかを、瞬時に判断できる術はない。
 
 数年前(おそらく98年フランス本大会あたり)から考えている上記の問題は、オイラの中でいまだ解決手法を見出せないでいる。解決策は、いわゆるサッカー文化の熟成に委ねなくてはいけないのか、そうだとしても文化の熟成にどのように寄与すべきなのか、毎度のことながら考えさせられた国立であった。

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