カントクの寝言  「悲しい結末」 (2004.5.16)
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  こんなにくやしくて悲しい気分になったのは、昨年5月の日韓戦以来だろう。昨晩の磐田はあの時の日本代表のように、結果だけでなくゲームでも、そしてゲームに臨む気持ちまでもオンボロ自動車会社に負けていた。

 この日勝利すれば、いや引き分けであっても磐田はAFCチャンピオンズリーグ(以下ACL)1次リーグの勝ち抜けがほぼ決定する、しかもその相手はKリーグの全北現代。僕はこの大事な1戦を観るため、平日ながらも会社をフケてヤマハスタジアムへむかった。東京〜磐田、往復6時間のたった1人での運転、普通に考えれば40過ぎのオヤジが平日に決行する行程ではないが、このゲームの重要性がそしてゲーム後に見られるはずの磐田の歓喜が、僕を西方面にかりたてたのである。

 この日、服部、西が出場停止、田中誠、山西がケガと磐田はDF陣の人材が少なく、なんと大井をリベロに鈴木、菊地の3バックを組む。その前には福西、河村のボランチ、MFは右:成岡、左:藤田、中:名波で前田、グラウの2トップ。メンバー的には、大井のDFライン統率とサイドアタッカーの不在に不安ありであったが、ゲーム開始早々からその不安が的中する。

 いつもの磐田の流れるような2タッチ以下のパス回しが出ない。いや、パスは回っているが、その位置は常に自陣であり、ボランチでさえ前を向けなく後ろにはたくパスが多くなり、無理に前線に出したパスを拾われカウンターをあびる。これは相手のプレスが強かったことも要因であるが、それ以前に中盤でパス&ムーブの動きをして再度パスを受けようとする動きをしているのが藤田のみであり、成岡は対面のマークがきつく前を向けず、河村にいたってはパスを受けることもできない単なるボールウォーチャーとなっている。中央が崩せないならサイドDFの裏へロングパスを通したいが、サイドアタッカーが不在のため、パスは通らず。強引にまとめてしまうと、大井、菊地、成岡の3人の若手の失敗をしたらまずいという慎重さが、ブレイクスルーできないマインドが、いつもの華麗なパス回しを消してしまったのだろう。(尚、河村はゲームに参加していなかったので論外。)

 0−1で始まった後半、まずは点をとるためにサイドアタッカーの必要性を感じる。ゲームに参加していない河村を下げ、成岡をボランチ、右サイドに川口、この体制を望んだが、桑原さんは動かない。1−2となった後半21分、やっと成岡→川口の交代で右サイドが活性化。そしてわずか4分後にグラフのワンタッチセンタリング、前田の見事なヘッドで同点。スタジアムは最高潮となる。
 
 このゲームの流れからいえば、磐田はここでGame Overにすべきであった。追加点をとるためにリスクをおかすならば、同点でもいいからこのゲームを終わらせるべきであった。その意味で、たしかに疲れてはいたが、この日攻守の鍵となっていた名波→中山の交代は解せない。もし桑原さんがこの日で決めよう(=勝とう)という意識を持ってのこの交代だとしたら、僕は彼の監督資質を疑う。この日のゲームは引分ければラッキー位相手のペースであったし、何よりACL決勝T進出には負けないことが何より大切だったわけだから。

 またこれは半分は結果論であるが、この日のスタメンも解せない。こんな大事なゲームにJリーグでもやっていない何故若手3人先発としたのだろう。確かに3人とも能力があることは認めるが、もう少しベテランの力を信用してもよかったのではないか。そのための森下獲得じゃなかったのだろうか。僕だったら、DF鈴木、菊地、上本 MF福西、森下、川口、藤田、名波 FWグラウ、前田と並べたはずだ。こうしてまずは立ち上がりのリスクを少なくし、もしリードされたら後半から成岡のアクセント、カレンのスピードを武器に使えば、相手は混乱したはずだ。

 ともかくこれで磐田のアジア制覇は消えた。サスペンションは仕方ないが、それを除いた部分で昨晩の磐田は全ての意味でベストで臨めたのか?ベストで臨む準備をしたのか?そもそも磐田にとってのACLの位置付けは何だったのか?多くの疑問が残るゲームであった。


 一方、くやしくて仕方ないが、僕はこの日の全北現代というチームを称えたい。このチームの詳細は知らないが、昨晩観た限りではその実力はJ1の中位程度であり、普通の磐田ならば2−0で勝てる程度のレベルであった。しかしスキルの未熟さは置いて、ゲームに臨むそのチーム一体となったモチベーション、チームワークは素晴らしかった。激しい攻防、2度のリードに関わらず後半25分、同点に追いつかれる。場所はAway。同点にされた瞬間、何人かの選手が膝を折って座った。僕はこの場面をみて全北現代の勝利はないと確信した。しかし、彼らの精神は強かった。残り20分、むやみにゴールを狙ってロングボールを上げることもなく、この日の磐田の弱点であった菊地のサイドを効率的に攻撃し崩す、また守備もむやみに上がらず、きっちりプレスをかけ中央突破を未然に防ぐ。実に冷静でかつ熱いゲーム展開を実施した。さらにリードした後も、効率的なカウンターで追加点。完全にチームとしての意思統一ができた素晴らしい戦いだった。このようなモチベーションが磐田にあったなら、きっと昨晩の結果は逆になっていたであろう。

こんないい加減な格好で行ったんで負けちゃたんだろうか
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