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 6月23日 愛しきサポーター達その1
 「悲しきドイツ人」
 
 

 この日のゲーム「ドイツvsチェコ」は僕らの初観戦であると同時に唯一のカテ1観戦であった。この国におけるカテ1席観客は完全に玉石混合であり、両国人とポルトガル人、そして僕らのような第3者が混じっており、また比較的おとなしく観戦する人たちが多かったが、その中で騒いでいたのは僕ら日本から来たにわかチェコサポーターと隣席に位置した長身のドイツ紳士2人組だった。

 彼らは僕らがチェコ贔屓であることがわかると、露骨にチェコを揶揄し僕らは僕らでドイツにブーイングをかまし、応援合戦さながらとなった。バラックが素晴らしいゴールをゲットすると、彼らは「そら、見たことか!」と僕らを意識しているかのように余裕をかまし始めた。しかし、結果は・・・。

 ゲームが終わりふと彼らを見ると、彼らはその長身が10cmほど低くなったように腰を折り、背中を丸め、青い目はうつろとなり、悲しさが全身を包んでいた。その姿を見た瞬間、僕はウルウルきてしまった。僕は彼らを通して2年前の宮城での僕ら自身を思い出したようで、さっきまで「敵」であった彼らに思い切り同調してしまったのだった。同時に僕は同調できた自分に、すなわち彼らの悲しみを理解できる自分達に少しの誇りを感じ、また悲しんでいる彼らをうらやましくも思った。

 僕らはドーハ以前はもちろん、3戦全敗のフランスにおいても決勝T進出を惜しくも逃すという悲しみ以前に敗れていた。つまり宮城こそが僕らの彼らと同等に値する深い悲しみなのだと思う。それを経験できた今だからこそ彼らの悲しみが理解できるような気がし、その気持ちが少しの誇りとなったのだと感じる。とは言え、ここEuroにおいての僕らは完全に外様。どこがどんな勝負をしても、今日の彼らのような悲しみを味わうことはできない。それがうらやましさの感情なのであろう。

 僕は自分自身の様々な感情起伏の要因となった彼らの悲しい目が今でも脳裏に焼き付いている。

 

   

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