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 6月25日 愛しきサポーター達その3
 「RESTAURANTE A Carvoaria」
 

 

食いかけですんません
Saldinhasですな
 

 僕らの宿泊するホテルは街の中心部からはメトロで6駅程度とやや遠く、このホテルに今後3泊することを考えるとゲーム終了後に街中でメシを食うには遅すぎるため、ホテル付近でレストランを探したかった。但し、ただ食えればいいってもんじゃない。国内であれ、どこであれ、サッカー以外の僕の楽しみは食って飲むこと、しかもリーズナブルでなければ満足しない。そこでLisbon到着の翌朝、ホテルのコンシェルジェに紹介してもらったのが"RESTAURANTE A Carvoaria"であった。

 ホテルから徒歩3分程度のこのレストランに最初に訪れたのは23日、以下3日連続で通うこととなった。初日、魚料理(基本的にはグリル)を中心にワインもたらふく飲んで1人20ユーロ以下の値段に満足し会計を済ませて帰ろうとした時、レストランのオーナーであるおっさんが僕に向かって「スポルディング、ノー」と前に出した指を横に振った。この日スポルディングのレプリカを着ていた僕に反応したのだ。早速「ユーはベンフィキスタ?オイラもエウゼビオ大好きだぜ。来日した時、国立行ったぜ。」と酔いにまかせ、英語と日本語のちゃんぽんで答えた。おっさんは何となくわかったらしく、うんうんとうなずいてその場は別れることとなった。

 2日目ポルトガルがイングランドに勝利した夜、僕らはまたそのレストランへ行った。その日の僕はポルトガル代表のTシャツを着ていたが、おっさんはその格好は許してくれた。イングランド苦虫オヤジと会ったのもこの時だった。おっさんの料理は極上ではない、特に牛肉料理は硬くて噛みづらいが魚はみな新鮮で旨かった。そして何よりも店とおっさんの庶民的な雰囲気が僕らは気に入った。そしてもちろんその値段も。

 3日目Lisbon最終日、僕らは迷わずこのレストランを選んだ。料理が格別旨いわけでもなく、たまに料理が出るのが格段に遅くなり、オーダーをよく忘れるマヌケなおっさんがオーナーのこの店ではあったが、その家庭的な雰囲気に居心地がよくなったのだ。それよりも何よりも、今後一生来れないかも知れない小汚いこの店にLisbon最終日に来ない理由は何もなかった。僕はこの日もゲームがジョゼ・アルバラーデであったためスポルディングを着用していたが、おっさんのためにベンフィカのバッタモンレプリカに着替えて店へ行った。おっさんも既に顔なじみとなった僕らを歓待してくれて、ワインや食後酒をふるまってくれた。午前1時すぎ、最後の会計を済ませ店を出るとき、「おっさん、今日がオイラ達の最終日なんだ。明日はfaroに行く。だからもう店には来れないんだ。」と挨拶をすると、英語が全く理解できないおっさんは、まるで僕の挨拶を最初からわかっていたように、握手を求めてきた。
 「オブリガード、おっさん」
 「シー、おまえらも元気でな。」
 「来年はベンフィカがトヨタカップに来いよ。(あ!世界選手権か。まあいいや)」

 こんな会話をして僕らはまだ店にいたギリシアサポーターにおめでとうを言いながらホテルへ帰った。ベンフィキスタで少しマヌケだけど(少し)おいしくて(確実に)安い料理を毎晩食わせてくれたやさしいおっさんは、間違いなく僕らのサポーターだった。

 

   

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