7月16日 part2 
 「カムオーン(ありがとう)ヴェトナム ヴェトナム戦」

 

 

 

 

 

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 ひとしきりのサポーター交流後、17:00にスタジアム入り。この時点では日本サイドゴール裏はほぼ70%程度の入りであったが、予想通りアウェイサポ席が隔離されておらず、ヴェトナム人と日本人が呉越同舟、またそれまでのヴェトナム戦からキックオフ時点ではほぼフルになることも予想できた。

 この旅で遊びやメシ、そんなことは全部ナオちゃんとトモコさんに任せきりだったオイラだが、サッカースタジアム内に関しては頭とカラダがアクティブに動く。まず、本日の結果として最も順当なのは日本とカタールが勝利してヴェトナムが1次リーグ敗退、となった場合、試合前は友好的であったヴェトナムサポがどのような行動に出るかは予想できない。

 その時、ヴェトナムサポのド真中で右往左往している日本人母親と小さな子供2人がいた。自分の席(カテ4でも全て指定席)にヴェトナムサポが座り、さらにその周囲が全部ヴェトナム人で戸惑っている雰囲気だった。早速、オイラのいる場所に呼び寄せる。母親は指定された席でない場所に座るルール違反に戸惑いがあるようだったが、「みんな守っていないから大丈夫ですよ。」とサッカー場でのルールを伝え、また当然ながら上段からモノが飛んでくることを想定し、「後半はもっと上段で観た方がよいですよ。」とアドバイス、そして小さな子2人をオイラの隣に座らせる。もちろんトモコさんやナオちゃんにも同様の措置をとる。なんと頼もしいオヤジだろう。サッカー関連だけではあるが・・・。

 キックオフ、鈴木啓太のオウンゴールでヴェトナム先制。この時のスタジアムはすざましかった。まるでEuro2004のポルトガル-イングランドのようだった。オイラ達も評論家のようなふるまいをしている場合じゃない、ともかくヴェトナムを叩き潰すことに、それをサポートすることに全力を傾注する。が、結局は実力通り。あのドルトムンドの日本と真逆のように先制されてもあわてない、そしてすぐに挽回する日本。後半14分の4点目が決まった段階で、既に家路につくヴェトナム人が多数見受けられた。

 ゲームはその後停滞。無理して攻めない日本に対し、ヴェトナムは追うアシがストップしてしまう。オイラは2分に1度の頻度くらいで掲示板に目を向ける。ともかく早く後半30分が過ぎろ、思うことはそれだけ。どんなカタチでも「今」失点すれば、ホームのヴェトナムは元気になるし、しかもここは何が起こるかわからない東南アジア、ただそれでも後15分になって3失点は有り得ないはず、だから30分を過ぎろと掲示板とにらめっこをしていた。ゲームは何も起こらず、電光掲示板は後半30分まで後1〜2分、どうやら完全にgame is overだなというどんよりとした雰囲気が会場に流れ始める。家路に着くヴェトナム人の数が増加してくる。が、そんな時だった、いきなりスタジアムに大歓声が響き渡る。この試合の趨勢は決しているが、クライマックスはこの後に起こったである。

 スタジアムに流れたヴェトナム語のアナウンス、それはUAE-カタールの途中経過だったようだ。当然オイラ達は何を言っているのかわからない。後ろで大騒ぎしているヴェトナム人に聞いたら、左右の指を1本ずつ立てうれしそうな顔をしている。前半終了時点で1点リードされていたUAEが追いついた、このまま引き分ければヴェトナムが2位通過、ヴェトナムにーちゃんの笑顔と指はオイラにそのことをすぐ理解させた。

 目の前のゲームは後10分程度を残して勝負アリ、本来は呉越同舟のサポーター席も明暗のコントラストがはっきりする時間帯、だが1-1が明暗両サポを一体化したのだ。日本人もヴェトナム人も皆で"UAE UAE"の大合唱。誰も目の前の試合を見ていない。こちらの試合が終わりかけた頃、後ろのあんちゃんがオイラの肩をたたき2-2と教えてくれる(実際は誤情だったのだが・・・)。となると、もしカタールが得点すればヴェトナムは奈落の底に落ちる。オイラ、時計を指差し"Time Time?"、携帯telで情報を聞いていたヴェトナム人"Last 1 minute"と教えてくれる。そしてこちらの試合終了後、数分経過、スタジアムにさらなる大歓声が響く。オイラ、また後ろを向き聞く。"you win?"あんちゃん満面の笑みで答える"yes----"。

 "Congratulations."とオイラ、"Thank you"とヴェトナムにーちゃん。目の前の試合は4-1で日本の完勝、ヴェトナム完敗、なのに祝福する日本人、感謝するヴェトナム人。数分前まで"Vietnam Vietnam"と声援を送り、日本サポを冷たい目で敵視していた2列前のおねーちゃんがオイラに抱きついてくる。交わすコトバは同じ、こちらがCongratulations."、あちらが"Thank you"。あちらこちらで同じ光景、喜びで一体化したスタジアム。その光景は、スタジアムの外に出ても継続する。日本人が"Vietnam"と叫べば、ヴェトナム人が"Japan"と笑顔で返す。こんな幸せな光景には滅多に遭遇できるものではない。これだから国際試合への参戦はやめられないのだ。

  カムオーン Vietnam ありがとう日本代表、そしてThank you football

 

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