■BRUCE
STADIUM これも「たまたま」なんだが、宿泊しているホテルの横からスタジアム行きのシャトルバスがでている。17.30頃これに乗って決戦会場BRUCE
STADIUMへ向う。往復で2AU$とお手頃値段である。
バス内では、メヒコ系の家族が日の丸をペインテングして乗っている。日本の応援をしてくれるそうだ。そしてバスは15分程度でスタジアムへ到着した。
スタジアムは、グランドレベル(道レベル)から落した(掘った)設計であり、メインゲートがスタジアム1Fの最上段レベルに位置する。僕はスタジアム外周を1周したが、結構観やすいスタジアムだ。専用ではないが、トラックもない。クリケットか何かのスタジアムなのだろうか。それと心配された芝生は見た目には大丈夫そうだ、きれいに整備されている。
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BRUCE STADIUM全景 |
STADIUM僕の席から |
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やっとオリンピックらしい風景 |
1F席と2F席の間にこんなスペースがある。 |
18.30頃、スタジアム周辺をうだうだ歩いていると、小高い丘の上に数人の人が集まっている。何か売っているのかな?と好奇心で上がってみたら、なんと南アフリカの選手たちのバスが到着し、スタジアムに入場するところであった。
と、いうことは・・・。
考える間もなく、我が代表のバスからスタッフを先頭にして、見慣れた顔が下車してきた。選手たちであーる。
間近(丘から入場ゲートまでは10m位)に選手が多数。観ていた人達も「まさか?」という感じで声も出せない状態。その時、宏太がこっちを見た。
すかさず「がんばれー!コータ!」と僕は大声で叫んだ。それを口火として、周囲の人達も「ニッポン、ガンバレー」とかを始めた。
でも、宏太にがんばれー、って言った気持ち、みんなわかってくれるかな。
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バスから選手が降りてくる |
トルシエさーん、よろしく! |
■vs南アフリカ戦
20.00 FIFAのテーマ(オリンピックなのになんで?)でフェアプレーの黄色い旗とともに我が日本代表が入場。久々の緊張感が僕を縛る。フランスの時は70%出場するだけ、その場に僕がいられるだけで満足だった。今日は絶対に勝って欲しいと思った。緊張の種類はフランス予選の日韓戦、あの時に似ていた。
ゲーム開始、日本は完全に圧されている。明神と稲本が相手FW(MF)へのDFで汲々とし、攻撃に参加できない。俊輔も対面サイドの守備に抹殺されている。相手プレッシャーが強く、それを感じてかナカタは簡単にさばこうとするが、他の選手は球をこね、相手プレッシャーをさらに受けて前線に供給できない、もしくは前を向けない。
南アは個人のスピード、スキル(ドリブル)でサイドを突破する。突破し、また個人技でセンタリング。その前になかなか防げない。中澤、中田浩が完全に1対1でやられている。コワイ。
それにしても柳沢、俊輔を始め日本選手がかなり芝生に足をとられコケる。何故、日本だけ?このコケが命取りにならなければ良いが、と思う。
30分真中でカットされたボールが、相手右サイドへ出る。オフサイド!完全にそう見えたが、主審はとらない。中田浩がマッカーシーをきっちりマークするがふられ、センタリングが上がる。その数秒前、ゴール前では森岡がしっかりFWをマークしていた、よってセンタリングがあがっても大丈夫、僕はそう思っていた。しかし、ノムベテの素晴らしいヘッドが決まる。まるでJBのダエイのようだ。絶句・・・。
0−1になってからも日本の守勢は変わらない。これはホントにやばい。せめて前半はこのまま終わって欲しい。そう思っていた矢先、高原の見事なヘッドが炸裂。前半ロスタイムに同点に追いつく。
前半終了、僕は思い切り安堵の息をはく。しかしサイドを割られすぎである。
後半、守備への貢献を考え、左に三浦淳、調子の悪い柳沢を交代させ、ナカタ、俊輔が中、これでバランスをとってくる、と僕は考えていた。
が、トルシエは違った。ナカタの中での守備貢献が大と考えたのだろうか、後半は前半と同じメンバーでのスタートとなった。
しかし、後半も再三サイドを割られる。中央突破は森岡のセンスで何とか未然に防ぐが、厳しい時間帯が続く。引き分けでもしかたがない、負けないサッカーをしてくれ、僕はそう思い始めてきた。
79分、ついにトルシエが動く。柳沢に変えて本山。左サイドに入ると思ったが、トルシエの指示は柳沢の位置に本山を入れただけ。何故?疑問がわく。
が、その瞬間だった。ナカタからの絶妙なパスがゴール前に、そして・・・。
残り15分、それは胃の本当に痛くなる時間であった。時計を見る。
後13分。
もう1回見る、後12分。えっ、まだ1分しか経っていない。それでも南アの攻撃は続く。ひょっとしたら、そんなにコワイ攻撃じゃないかもしれないが、その時の心境と言ったら、もう・・・。
1時間以上あったように感じたロスタイムが終わり、主審が終了のホイッスルを吹く。(関係ないが、ラグビーのノーサイドという言葉は素敵だ)
日本が勝った。
彼らは本当に「強い心」を手に入れたと思った。先行されてもあわてない、後数分のところでバタバタしない、今迄何回も「あとちょっと」を経験してきた僕にとって、彼らはとても誇らしくみえた。
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勝ったぁー、よかったぁー |
■帰りのシャトルバス
いい気分でのホテル路。ちょっと寒いが、心はとってもさわやかである。そして行きと同じシャトルバスへの乗り場へ向う。ここで僕はオリンピックの威力に気が付く。待機しているバスの数が半端ではないのだ。スタジアムから一挙に掃出された15000人がほとんど待たずにバスに乗り込むことができた。
オーストラリア、おそるべし。
ということで、ボローニャのような恐怖を味わうこともなく無事ホテルへ帰還。
僕の初日はとてもすんばらしい思い出とともに終わった。
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