酔かと〜れ

それぞれのサッカー
2000年6月1日
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遂に我がFCトキオカスのエース、永井久貴が語った。彼の生い立ち、サッカーへの思い、そして・・・。
日本有数、超一線級(本人談)のサッカーマン、「ナイスガイ略してナガイ」のサッカー観とは、はたして聞くに耐えるものなのか?
わたしはたまに雑誌の取材などを受ける機会がある。
記者は決まってわたしにこう質問してくる。
「えーと、永井さんはサッカーが好きですか?」
わたしは決まって
「あー好きさ。」と答える。

そう答えるたびにわたしはある夢を思い出す。その夢はなぜか、わたしとラグビー少年が話しているという夢だ。

・・・わたしはゲーム終了後、愛車のテスタロッサに乗り込もうとした時だった。
少年がいきなり話しかけてきた。
「僕はサッカーなんか好きじゃない。」

いきなりなんなんだこのくそがきは!
「だって、サッカーってさなんか、得点した奴はやたらとはしゃぎまわるし、ほんのちょ―っと足引っ掛けられただけで、おおげさにいたがってPKを得ようと必死。まだ、広島の達川のほうがしゃーないな―と思えるだけかわいいわ。それになかなか点数はいらへんし。」

それからこう続けた。
「ぜったいに、ラグビーのほうがエーゎ。」

こいつはなるほど、このヘッドキャップからしてラグビー少年か。
「ラグビーのほうがオールフォーワン、ワンフォーオールのせいしんがしんしてきでかっこいいやん。」

こいつは解かってないなと思いつつ、そのくそがきの話を一通り聞き終わってからわたしは静かにこう喋り出した。

「たしかにラグビーのような頭脳的で、しかも紳士のスポーツしか知らない人は君と同じように感じるかもしれない。でもね、こう考えるべきなんだよ。
二つのスポーツには快感という点において違うんだよ。つまり、ラグビーにはマゾ的な快感の要素がある。
しかしサッカーには、それ以前にいっぱつ決めて、ブチこんだる!的快感の要素があるんだよ。」

その少年はすっきりした顔で、
「あっそうかー。だからみんないっぱつ決めるためにかっこつけたり、おおげさにふるまったり、必死なんだね。さらに、そのいっぱつの快感がよすぎるために貴重なんだね。」

さすがラガーマン、飲みこみが早い。
そしてわたしは、愛車に乗り込みながらその少年の頭をなでた・・・。
ナガイは超一流の選手だそうな。

・・・・でも、どうしてこんな夢を見たんだろう。
記者のインタビューに答えながらいろいろなことが思い出されてきた。

わたしがサッカーに携わるようになってからたくさんのかけがえのない人達に巡り会えたし、たくさんの貴重な体験も出来た。

わたしはサッカーから得られるものを4Pと呼んでいる。
それは、PERSON=人、PRIDE=誇り、PLAY=体を動かすこと、そして最後にPEACEFUL=世界平和を願う心。

今考えてみるとひょっとして、夢のラグビー少年は私自身なのかもしれない。
つい最近まで、サッカーは好きではあったが、サッカーそのものに魅了されてはいなかった。
それはやはり、自分のプレーのふがいなさ、国内リーグレベルの停滞感。
私自身にも責任があるのだが、A代表マッチのふがいなさに対してのいらだちからくるものだ。

しかしわたしはあの夢を見てから、少し考え方が変わったような気がする。
わたしのように超一線級のレベルでプレーしてようと、
おじさんたちが川原で草サッカーをしてようと、
少年達が空き地でサッカーボールを蹴ってようと、
はたまた、大学生がフットサルをしてようと、
誰もが、4Pを感じる事ができ、そしてなによりもいっぱつ決める快感を味わうことができる。

あのラグビー少年もきっと、一度でもサッカーの快感を感じる事が出来たら、きっと魅了されるに違いない。
それは、ラグビー少年だけに限らず、今まで、サッカーの快感を味わったことのない人には刺激的すぎるかもしれない。

しかしこれだけはいっておく。いっぱつ決めるのは簡単じゃない。奥は深い。

「えーと、永井さんはサッカーが好きですか?」
記者が聞いてきた。
「あー好きさ。」
いつものように答えた。

そして、付け加える。
「それぞれのサッカーが、ね。」
 

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