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 カントクの寝言  road to germany 蒼への思いpart4 (2004.3.4)
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◆98年W杯フランス大会最終予選2 


△97年10月4日 1−1カザフスタン(アルマトイ)
△97年10月11日 1−1ウズベキスタン(タシケント)


 あの韓国戦の敗戦まで僕はグループ1位で抜けることしか期待していなかった。もちろん2位でも第3代表に、さらにそれで敗れたとしてもオセアニアとの決定戦があることは理解していたが、場所も相手も未確定(当時)な第3代表決定戦よりも、オーストラリアとの最終決戦よりも、まだこのグループでの1位のほうが容易であり、そのために倒すべき相手は韓国のみだと考えていた。逆の言い方をすれば、このグループで1位にならない限り、W杯出場への道は閉ざされたのも同様、というナイーブな考えをもっていた(と思う。)

 そして韓国戦の敗戦により勝点差は既に5、この途方もない差は今までの日本サッカーの歴史がトラウマとなり、僕は既に負けた時(=不出場)の気持ちの整理準備にとりかかっていたのかもしれない。よって、実際には劇的な様々な事件が勃発した中央アジア遠征ではあったが、僕自身はあまり記憶がない。いや、カザフ戦の秋田のヘディングもロスタイムの失点も、ウズベク戦のリードされた後のジリジリした時間、そして奇跡のような呂比須のゴールも脳裏に映像が残っているから、記憶はある。ただ、その記憶は映画を観ているようなもので、ドーハや後のジョホールバルでの出来事のような「気持ちの入った記憶」ではないような気がするのだ。

 何故またしてもロスタイムに失点するのか、何故Homeで快勝したチームに苦戦するのか。あの呂比須のゴールは後になって考えれば、W杯出場に可能性を残した劇的なゴールであったわけだが、それを生で観ていた瞬間に、僕には何の感動も歓喜もなかった。「ありゃ、入ったよ。」程度であり、その気持ちは、今入れたってどうせダメなんだよ、引分けじゃダメなんだよ、もう終わりなんだよ、というものであった。

【第6節終了時】
韓国13(+8)UAE7(+2)日本6(+2)カザフスタン3(−7)ウズベキスタン2(−5)
 

 

△97年10月26日 1−1UAE(国立)

 中央アジア遠征で4の勝点を失った我が代表は既に2位も危うくなってきた。しかし朗報が入る。第7節(日本は休み)において、直接の2位争いの相手UAEがawayにてカザフに0−3の完敗を逸したのだ。これによりUAEとの勝点差は1のまま。この日の直接対決で勝利すれば、2位が完全に見えてくることとなった。しかも相手は前週カザフに完敗している。そして舞台は国立。僕の心の中にW杯出場が復活してきたのだ。

 この日、僕は抜けられない仕事があり新検見川にいた。こんな大事な日に国立に行けない僕ではあったが、その引き止められた場所が新検見川ということに多少の因縁を感じた。そう、昔日本代表が合宿をしていた東大グラウンドのある場所がここ新検見川なのだ。仕事を何とか18:30に切り抜け、クルマで自宅へ戻る。東関東を160km程度でぶっ飛ばすが、当然キックオフには間に合わず、ちょうど葛西を抜け首都高へ入るあたりでラジオで君が代を聞く。僕はクルマの中で1人で大声で国歌をどなる。自然に感情が高ぶり涙腺がゆるくなる。キックオフ。直後、ラジオが大歓声でアナウンサーの声が聞こえなくなった。呂比須ゴール、日本先制の瞬間だ。僕はラジオから聞こえるニッポンコールに同調し叫ぶ。10分後、自宅到着。クルマを自宅前に路駐し、全速力でTVにかじりつく。そして魂の底から応援をした。

photo by footballをご一緒に

 しかし・・・、その後何となく攻めてはいるがキレのない日本は追加点をとれず、それどころかFKより同点に追いつかれる。後半、引分けでもよいUAEはあらかさまに時間稼ぎを行うが、レフェリーはほとんどロスタイムをとらずゲームセット。カズを始めとした日本選手がレフェリーに抗議するかたわらで、勝利に等しい引分けをしたUAE選手の歓喜が好対象に画像に映し出される。

 おわった。僕達のW杯はこれで本当に終わったんだ。そう思った僕は路駐してあったクルマを駐車場に持っていく時、クルマにはってあった"go for France”と書いたステッカーをはがした。後に知った国立での「卵投げ事件」。それを聞いた時、僕はそんな奴は日本サッカーを好きじゃないと思った。道徳とか礼儀とかそんな問題じゃなく、あの場で怒れることが信じられなかった。僕には怒るパワーなんかひとかけらもなく、あるのは「おわった」悲しみだけであった。

【第8節終了時】
韓国16(+12)(フランス決定)UAE8(−1)日本7(+2)カザフスタン6(−8)ウズベキスタン5(−5)

 

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